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妊娠を望んで夫婦生活を続け、1年以上子どもができない状態を不妊症と言いますが、いつから検査・治療を開始するのがよいのでしょうか?ご夫婦の考え方によって個人差もありますし、不妊期間、女性年齢によっても異なりますが、最も重要なポイントは女性の年齢です。特に35歳以上の女性の方は年齢が進めば進むだけ、妊娠しにくい状況になりますので、治療開始が早ければ早いほど、妊娠率の低下を防げます。従って妊娠を望まれれば早めに受診していただくのが良いと思います。 まず受診時、お話をうかがい、ご夫婦の状況をお聞きし、検査や治療の進め方を相談していきます。不妊の3大原因とされるのが排卵障害、卵管因子、男性因子ですが、他にも様々な原因が考えられます。しかし検査を行っても原因がわからない原因不明の方も40%程度はいらっしゃいます。妊娠は、女性の卵子と男性の精子が結びついて初めて成立します。そのためご夫婦で体の状態を把握・理解し、お互いに思いやりを持って二人三脚で検査・治療に臨んでいただきたいと思います。そのためのお手伝いを当院ではスタッフが一丸となってさせていただきます。
妊娠のしくみをまずご理解ください。 最初の図は精子側からみた図です。
次は卵子側からみた図です。
ここで重要なことは7.~10の現象は一般不妊検査では調べられません。体外受精ではじめて判明します。つまり7.~10の現象が正常に起こっていれば妊娠可能ですが、異常があった場合には妊娠ができません。従って一般不妊検査で異常がないからといってその方が正常とは限らないのです。特に受精障害や卵子の質などは体外受精をしてはじめて判ることなのです。一般不妊治療には限界があるため、漫然と一般不妊治療を続けることはお勧めしません。
★不妊治療とは精子と卵子が出合い、受精・着床するのを手助けする治療です。
妊娠の成立には、まず精子と卵子が出合い、受精するところが出発点です。その後受精卵(=胚)が分割し、子宮内膜へ着床し、初めて妊娠が成立します。しかし、前述の<妊娠のしくみ>でご理解していただいたように、その一連の流れを妨げる様々な不妊原因が存在します。不妊治療はその妨げとなる不妊原因を取り除き、手助けする治療です。
例)
★女性年齢が最も妊娠成績に関係します。
年齢と共に卵の数・質は低下します。卵子は生まれる前の胎児の頃に700万個が完成します。その後は減少し、出生時に200万個、思春期に30万個、37歳には2.5万個になり、50歳頃には1,000個になり、閉経となります。
つまり30代後半になればイエローゾーンとなるので、治療も急ぐ必要があり、ARTも考慮し、早めのステップアップが望ましいと思われます。また40歳を過ぎるとレッドゾーンともいえ、体外受精をしても妊娠が厳しく、流産の可能性も高まります。従っていつまで不妊治療を行うのか、治療の終結も考慮し、治療に臨んでください。
★抗ミュラー管ホルモン(AMH)≒卵巣予備能力の指標が重要です。
卵巣に残っている胞状卵胞数の指標なるホルモンで、卵巣に残っている卵子数の目安となります。 しかし卵子の質を反映するものではありません。
⇔自分のAMH値を知ることにより、不妊治療方針が立てやすくなります。
以上のことから、なるべく自然で妊娠したいから、体外受精までは考えていません、とおっしゃる方がいらっしゃいますが、精子が卵子と出会えなければ受精のチャンスがないので、検査で不妊原因を特定しないまま、漫然と長期間タイミングや排卵誘発剤のみを使用することはお勧めしません。
年齢係数 × 治療方法
年齢係数とは、妊娠できる良い卵子が排卵する確率です。22歳の女性だと、10個中10個が良好卵子と推測されるので、年齢係数は10/10、つまり1となります。35歳の方で5/10
で0.5、46歳の方だとほとんど良好卵子はないと思われるので0/10、限りなく0に近くなり、 下の図に示すように、どの治療法、例え体外受精を行っても、妊娠率はほぼ0となります。
例;35歳で体外受精だと
0.5x40%=20%の妊娠率